PROJECT DANBOLL / 制作:スタジオ カミヤ
シナリオ:少年F ── 救えた日と、救えなかった日
制作中のビルド(探索区間)で実際に流れる会話の台本と、戦闘中に漏れる本音の5段階です。同じ人物が、期限内に会えたときと、期限を過ぎてハコビトになってしまったときで、何を言うかが変わります。
書き方の原則
- 主人公は無口。 台詞を持たず、選択肢も言葉ではなく仕草(うなずく/手を伸ばす)で表す。
- 人物に設定を説明させない。 ハコビト化率などゲーム上の数字は、登場人物は知らない。状態や世界観を台詞で解説しない。
- 本音は、救えなかったときに一番はっきり聞こえる。 救えたときは「漏れかけて、飲み込む」までしか出ない。
人物
少年F。プロスポーツ選手の父を持ち、学園中から期待されている。壊れるまで、その強さが誰にも分からない少年。圧力の出どころは一つではない——父、監督、仲間、町、メディアの全部。世界が変わって、ほんの少しだけほっとし、少しだけ期待した。設定の詳細は「設定資料:キャラクターと世界」を参照。
1. 期限前 ── 救えた日
主人公は少年Aを仲間にしたあと、期限の日のうちに公園で少年Fに会う。
| 話者 | 台詞 |
|---|---|
| 少年F | ああ、お前も生きてたとはな。 |
| 少年F | ……誰か探してるのか。 |
| 主人公 | [うなずく]/[周りを見る] |
| 少年F | そうか。 なあ。お前、この世界ってさ…… |
| 主人公 | [……?]/[黙って待つ] |
| 少年F | ……いや。なんでもない。 |
| 少年F | 一緒に行くよ |
| 少年F(独白) | ……そうだよな。 世界がこうなっても、俺は俺から逃げられない。 |
「この世界ってさ……」の続きを、彼はここでは言わない。この含みの正体は、救えなかった側で分かる。
2. 期限後 ── 救えなかった日
拠点で休んだ一日が、少年Fの期限だった。次に会ったとき、彼はもうハコビトになっている。
| 話者 | 台詞 | 演出 |
|---|---|---|
| 少年F | ……お前か。遅かったな。 | |
| 少年F | 俺はな……あの世界にうんざりしてたんだ。 | |
| 少年F | どいつもこいつも、俺の生き方が 決まってるような言い方をしやがる……。 |
|
| 少年F | 負けるな。走れ。勝て。 ……どこにいたって、聞こえてくる。 |
ゆっくり |
| 少年F | なあ、あの声の裏で流れてたのは、 誰の血だと思う? |
ゆっくり |
| 少年F | 俺の血なんだよっ!! | 叫び(一拍→衝撃音→画面の揺れ) |
| 少年F | 耐えてたんだ!! ずっと! ……もう、限界だったんだ。 |
|
| 少年F | それが……今は、聞こえないんだ。 あの声が、何一つ。 |
ゆっくり |
| 少年F | ……なんだよ、これ。 こんなに、楽なのかよ。 |
ゆっくり |
| 主人公 | [手を伸ばす]/[動かない] | 選択 |
| 少年F | ……お前にも、分けてやるよ。 聞こえなくなるんだ。全部。 |
ゆっくり |
| ── | 少年Fは、もうこちらの言葉を聞いていない。 | 地の文 → 戦闘へ |
ハコビトは、被っていない者に箱を被せようとする。「分けてやる」は彼にとって善意の誘いで、だから怖い。彼にとってはこの姿のほうが幸せなのかもしれない、という含みを残して戦闘に入る。
3. 戦闘中に漏れる本音(5段階)
戦闘で被弾するとハコビト化率が上がり、20% ごとに本音が短いログとしてこぼれる。聞いた本音は生徒手帳に残り、次の周回で救う手がかりになる。
言葉の矛先が、自分 → 頭の中の声 → 隣にいる主人公へと移っていき、主人公に向いた瞬間が敵化。80% までは少年F本人の言葉で、ハコビトの口調は使わない。
| 化率 | 本音 | 矛先 |
|---|---|---|
| 0% | (建前。何も言わない) | |
| 20% | ……別に、期待されたくてやってた訳じゃない | 自分 |
| 40% | 父さんの名前で呼ばれるの、正直うんざりだった | 自分 |
| 60% | あの騒ぎで試合が無くなって、ほっとした自分がいる | 自分(いちばんの秘密) |
| 80% | 勝て。勝て。勝て……。 ……もういい。聞きたくない。頼むから……! |
頭の中の声 |
| 100% | どいつもこいつも、俺の生き方が 決まってるような言い方をしやがる…… |
隣の主人公 |
| 100% | お前に俺の気持ちが分かるかよっ!!! ── 叫び。敵側に回る | 隣の主人公 |
4. 少年Aとの会話(参考)
同じ探索区間で、最初に仲間になる少年Aの会話。少年Fの含みと対照になるよう、こちらは弱さを隠さない人物として書いている。
| 話者 | 台詞 |
|---|---|
| 少年A | ……誰かと思った。お前か。 |
| 少年A | 学校に残ってたのは、俺だけだ。 みんな箱を被って、どこかへ行っちまった。 |
| 主人公 | [うなずく]/[周りを見回す] |
| 少年A | お前がいて助かったよ。 一人で不安だったんだ、一緒に行動しよう。 |
| 少年A | 少年Fなら公園にいた。 今日のうちに行った方がいい。 |
| 少年A | ……正直、俺はもう立ってるのもきつい。 拠点で一晩休めるなら、休みたいけど。 |
拠点で「休む(1日が過ぎる)」を選ぶと、少年Fの期限が過ぎる。休まず公園へ向かえば、少年Fを救える。
